Saturday, March 30, 2024

おめでたい奴  A Simple-minded Man

 

おめでたい奴

人間は物事を勝手のいいように解釈するようだ。勝手に導き出した結論によって心配するというようなことがある。

実は、恥ずかしながら、上記のような体験をしたのでここに記しておきたい。

小生は物語を書くことを趣味としている。その範囲は長編、中編、短編、掌編、はたまた童話や児童ものにまで及ぶ。広範囲だからと言って自慢している訳ではない。今までに数えきれないほど落選している。

 今年の1月に応募したのは「アンデルセンのメルヘン大賞」である。我ながら素晴らしい作品ができたと思った。主人公は地球君だ。地球君が土星や木星や彗星や月をうらやましく思って、自分もあのように美しくなりたいと思う。彗星が近づいてきて、「地球さんほど美しい星はないですよ」という。自分では気が付かなかったが、端から見ると美しく見えるのかと思い直し、他の星々をうらやましく思うのを止める話である。

大賞を受賞すると、30万円とデンマークペア旅行などが副賞として授与される。

ここから、あらぬ妄想が沸き起こり「もしペア旅行が当たったらどうしよう」と気になり始めた。わたしは81歳だし女房も後期高齢者だ。デンマークまでの長時間飛行に耐えられるか。ロシアのウクライナ侵攻でモスクワ経由は駄目だろうから、コペンハーゲン空港までの飛行時間は14時間ぐらいになるかと思った。エコノミークラスの飛行だから、私達夫婦は体がもたない。もし、ペア旅行が当たったら、主催者に頼んでビジネスクラスに代えてもらうしかないと思った。差額はこちらが負担するのは勿論だ。あれこれと心配することが多くなって来た。「何と言ったって、体を鍛えておかなければ、ベルギー旅行は無理だと思い、毎日5000歩き、階段を登り、運動をして体を鍛えた。

結果の発表が正式には4月2日であったが、先日主催者からぶ厚い角封筒が届いた。落選なら便箋一枚しか入っていないので、ひょっとして入選したかと思った。

ドキドキして開封したら、なんと……。

落選。

残念、無念。でも良かった。もう心配しなくて済む。ゆっくり眠れる。

この3か月間、あれこれ空想するのは愉快であった。次回も狙ってみよう。次回の締切は来年1月10日の予定だ。

A Simple-minded Man

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