Tuesday, December 30, 2008

親愛なる浪人諸君へ

日英バイリンガル通信  No. 39 Hiroshi Matsuoka 松 岡 博
親愛なる浪人諸君                                   
                                                2008年12月30日
                                   
 今年の3月以来約10ヶ月間、諸君は日夜努力して学力をつけ、今日のこの日を迎えています。同期に卒業して、大学に入学した連中は来春には大学2年生になりますが、諸君はこの春から大学生となり、一年後れることとなります。しかし、長い人生1年や2年の差は全く関係ありません。わたしのように65歳ともなると分かります。わたしの教え子の最高年齢は59歳で、同窓会に出ますと私よりふけた顔をした教え子がいまして、どちらが先生で、どちらが生徒かわからなくなります。1年遅れということは全く問題ないのですが、この時期3つの大切なことがありますのでここに言っておきたいと思います。

一つ目 体調

 インフルエンザがはやりそうです。入試日に体調を崩さないように今から注意してください。

二つ目。大学で何をどう学ぶか

 今、世の中は経済不況でトヨタやソニーを始めとする多くの企業で派遣切りや、内定取り消しという未曾有のことが起きています。新聞の投書欄を読んでいましたら、ある母親が、中学生の息子に「僕はちゃんと就職できるだろうか」と心配顔で聞かれて、まだ先のことだからと受け流したが、ということが載っていました。中学生にしてこうですから、おそらく諸君は4年後、または数年後にちゃんと就職できるのか心配している人もいるかと思います。諸君の中には大学受験を目前に控えているのに、そんな数年後のことなど考えている余裕はないという人がいるかもしれません。もちろんそれでいいのですが、諸君は大学を卒業したら、ごく一部の自営業を継ぐ人は除いて、ほとんどの人は就職するのです。大学進学とその後の人生の大部分を占める就職とは切っても切り離すことはできません。

 この就職難に今からどう立ち向かうか、に対する答は正直ありませんが、おそらく次に私が述べることを着実に実行する人から、就職が決まっていくのではないかと思います。それは、自分が選んだ道を究めるということです。

 諸君はすでに受験する大学、学部、学科を決めていると思います。学科の中でもどの専門分野を勉強するかも、もうすでに決めている人がいるかもしれません。決めておれば、肝心なことは、自分が選んだ学科、又は専門分野を究めるということです。前回の激励会でも同じようなことを言いました。自分の専門分野を究めることは人生生きていくうえで大いに役立ちます。

 わたしの例を引き合いに出すのは場違いかもしれませんが、わたしは英語を究めるべくこの何十年間努力してきました。とても究めるところまでは行かずに今日この頃でもまだ山のふもとのあたりをウロウロしているようなもどかしさがあります。しかし英語はわたしの人生を豊かにしてくれました。

 先日ノーベル物理学賞を受賞したあの益川さんの手記を朝日新聞で読んでいましたら、同じようなことが書いてありました。一部を引用しますと次のようです。
 「私(益川)の場合は、たまたま物理という世界があって、結果的にその世界の中でなんとか生き残れたということに過ぎない」
私の英語と違って、益川さんは物理学を相当に究めた人だと思います。物理学のおかげで生き残れたということです。

 もう、懸命な諸君はお分かりと思いますが、この不景気な世の中、生き残るには何かを追求し、究め、それによって生きるのです。それには諸君が選んだ学科なり専門分野を大学に入ったら究めようという決意を持つことです。ただ入学したから、ただこの学科に受かったから、勉強するんだでは、本当にこの世の中生き残っていけないでしょう。

 諸君は一年間悪戦苦闘、努力奮闘して今日ここまで来ました。諸君はその努力が報われ、必ずや来春は大学に合格すると確信しますが、合格した先を見てください。大学生活をどう過ごすか、どの分野を究めるかということも視野に入れて来るべき受験に望んでください。そして、大学に合格したら、合格したその日からその学科、その専門分野と心中する覚悟で勉学に励んでください。
 
 昨日、教え子(34歳)の同窓会に招かれまして、司法試験に合格し現在は弁護士をしている教え子と話をする機会がありました。南山中高時代は200人中190番ぐらいの成績でしたが、現在は立派な弁護士になっています。何故勉強ができなかったのかと聞きましたら、「勉強しても出来ないと思ってた」との返事でした。頭から、自分を過小評価していたのです。法律の勉強は、大学(産業経済学部)卒業後、一大決心をし、法律専門学校に6年間通い、6回司法試験を受験し、6回目に合格したそうです。この話は次に述べる3つ目の内容に通じます。

3つ目、競争する前から負けるな
 最後になりますが、諸君が高校2年生のときに「マットの目」で紹介した「勝負必勝の心」を激励文としてもう一度贈りたいと思います。英語と私の新翻訳を読んで、内容を良く味わってください。

 最後になりましたが、諸君の健闘を祈ります。
IT’S ALL IN A STATE OF MIND
(Author Unknown)

If you think you are beaten, your are
If you think you dare not, you don't,
If you’d like to win, but think you can’t
It's almost a cinch you won't
If you think you'll lose, you're lost
For out in the world you find
Success begins with a fellow's will
It's all in a state of mind
For many a race is lost
Ere even a race is run,
And many a coward fails
Ere even his work is begun
Think big and your deeds will grow
Think small and you'll fall behind
Think that you can and you will
It's all in a state of mind
If you think you are outclassed, your are
You've got to think high to rise
You've got to be sure of yourself
Before you can ever win a prize
Life’s battles don't always go
To the stronger or faster man
But sooner or later, the man who wins
Is the fellow who thinks he can

全てやる気しだい
(読み人知らず)

負けるかな思えば、ハイ、君の負けだ
「よし、やろう」と決心しなきゃ、やるわけがない
勝ちたいんだが、勝てないなと思ったら、
勝ちっこないのは明々白々

負けるかなと思えば、ハイ、もう負けてるんだ
成功ちゅうもんはナ
やる気が第一歩
全てやる気しだい

ヨーイ、ドン!が鳴る前から
もう負けちまってる人がいる
事が始まる前から
もう負けちまってる弱虫がいる

大きく考えよ。そうすれば、大きなことができる
小さく考えよ。そうすれば、落ちこぼれになる
「できる」と思え、そうすれば、やる気がでてくる
全てやる気しだい

抜かれているかなと思えば、ハイ、もう抜かれてるんだ
世に立つために、望みを高く持て
目指すものを獲得する前に
自分自身に自信を持て

強い者や、速い者が
人生で勝つわけじゃない
なんてったって、勝つ人は
「勝てる」と思う人だ
(翻訳 松岡)
YES, YOU CAN. SEE YOU AGAIN

Tuesday, December 16, 2008

FICTION OR FACT


FICTION OR FACT

  On October 30, 1938, many of those who were listening to the radio program “The War of the Worlds” directed by Orson Welles panicked, because they believed that Martians were really attacking the earth. The radio program was a live coverage from Grover’s Mill, New Jersey, the spot where the beam from a cylinder-shaped spaceship killed some of the onlookers. The New Jersey state declared martial law and attacked the cylinder.
  The drama was a fiction, but the broadcasting was so real that as many as 1.7 million people believed that the reporter was actually describing the attack in real time. More than 2,000 emergency calls rang within two hours in New Jersey police department; some went out of their houses to run away into the mountains from the invaders from the planet Mars; and others said they saw strange flashes of lightning and smoke and even the aliens. The whole community went wild and panicked.
  About ten years later, in 1949, a Spanish language version of "The War of the Worlds" was broadcast in Ecuador. After the program was finished, the listeners knew that it was a fiction. They became so angry with the radio station that they broke the windows with rocks and set it on fire. Six workers for the station were killed.

Seeing is believing
Believing is seeing
Desdemona’s handkerchief

Monday, December 1, 2008

THE GIRL WITH THE WINEGLASS ワイングラスを持つ娘

         日英バイリンガル通信  No. 39 Hiroshi Matsuoka 松 岡 博
                    
                    THE GIRL WITH THE WINEGLASS

  Last September I went to Tokyo Metropolitan Art Museum to see the Vermeer exhibition. He is said to be a master of depicting light, because he uses light so effectively to illuminate objects that they appear to be real. His skill is well demonstrated in Young Woman with a Water Jug and Milkmaid.
  I say Vermeer is a master of depicting human psychology, too. He captures the most crucial moment of emotions and paint it. The Love letter depicts the mistress’s misgivings because her maid seems to have read the letter; Mistress and Maid illustrates the mistress’s feelings about the letter the maid is about to give her; and Woman writing a Letter, with her Maid also shows the mistress’s sweet enthusiasm in writing a letter, and the maid’s concern about it.
  Among such psychological paintings, The Girl with the Wineglass is the most astonishing. Look at the girl’s eyes and curly smile. Look at the man’s eyes and posture. He is politely suggesting to her that she should drink the wine, while she is wondering whether she should or not.
The most shocking part of the picture is that she is asking you, the viewer, “What shall I do with the wine? Jekyll says, ‘The man is seducing you. Don’t drink it,’ but Hyde says, ‘Drink it and enjoy seduction.’ Should I drink it?”
  What an embarrassing girl! What an embarrassing picture!

               lovely girl       可愛い娘
               until you raised   ワイングラスを
               the glass      持つまでは