Friday, August 22, 2014

「これ稲造、汝は近頃」 HEI, INAZO, RECENTLY YOU ARE....

これ稲造、汝は近頃・・・

最近読んだ本で、感銘を受けた台詞がある。新渡戸稲造が大正5年(1916年)に書いた『自警録』の中の一節である。 "Bushido: The Soul of Japan”「武士道」を1900年(明治33年)に米国で刊行しているから、その16年後に著した本である。
国際連盟事務副総長を務め、紙幣の肖像にもなっている新渡戸稲造にしてこの言葉ありきとは、彼という人物の人間的一端を見るようだ。
自戒としたい。

故に僕[新渡戸]は何か人に逢うたり、多数の前に立つ時、怖気を覚ゆれば直ぐに自分を呼び出し、「これ稲造、汝は近頃、何かバクテリアに罹かりはせぬか、何処かで病の種を宿しはせぬか」と自問を発し、或いは「汝は人の前に立ち、少しでもよく自分を思われたいと、自分の真価以上の看板をかけたい了簡なるか、対手の人に褒められたいと思うてをりはせぬか、或いは何か求むる所があって、対手の人にお世辞を述べるか、或いは妄りに自分を卑下して、為さずともよいお辞儀をなし、自ら五尺四寸の體躯を四尺三寸に縮め、それでも不足すれば、ミルトンの悪魔同然に鳥なり蛇なり蛙なりの程度まで一身を引下げて居りはせぬか」かく発問すると、成る程尤もだ、自分は予ての心懸けよりも、此点に於いて大に堕落したと思ひ當り、心を取り直し、己に帰る心地する。


 

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