一ヵ月半ぐらい前に、キュウリの苗と野菜用の土を買ってきて、ベランダ栽培を始めた。
二、三週間後に黄色い花が咲き、実が大きくなっていき、三つほど収穫があったが、それ以降は、花がいくつか咲いても、また、小指ほどの実をつけても、害虫のせいか、気温が熱すぎるのか、水やりの量が少ないためか、どれもこれも枯れたり、茎から落ちてしまった。
その後は三週間ほど蔓が上へ上へ伸びていったが、もう実をつけることはなかった。一メートル半ぐらい茎が伸びると、先端辺りに10枚ぐらい青い葉をつけていたが、それより下の葉は全て枯れて茎から落ち、細い長い茶色の茎だけが残っていた。
これで、このキュウリも終わりかと思った。
枯れかかった茎を見ていると、自分自身の人生と重なった。この茎は俺と同い年の七十七歳かと思い、せつなくて引き抜くこともせず、そのまま、ほおっておいた。
ある日、先端の葉っぱの茂みを見ると、七、八センチのキュウリが生ってる。
驚いた。
驚く生命力だ。
子孫を残すため、最後の力を振り絞って、最後の一本のキュウリの実をつけたのだ。
よく頑張った、と思った。
キュウリを見習わなければならぬと思った。
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